結局、どの施工会社がいいのか?
旧教員宿舎の屋上防水。
4社から見積もりを取りました。
約250万円台。
330万円。
445万5,000円。
745万8,000円。
これだけを見ると、
こう思うかもしれません。
「250万円の会社で決まりでしょう。」
私自身も、
以前ならそう考えていたかもしれません。
でも、
実際に見積書を並べてみると、
相見積もりの意味は、
もっと別のところにありました。
見積書を縦に読むのではなく、横に読む。
例えば、
既存防水の撤去。
A社は244.6㎡。
B社は259.7㎡。
C社は270㎡。
対象面積だけでも、
微妙に違います。
そして、
撤去単価も違います。
A社は4,300円/㎡で、
処分費込み。
B社は1,400円/㎡。
C社は1,000円/㎡。
ここだけ見ても、
同じ「既存防水撤去」という一行が、
同じ価格ではありません。
防水本体も全然違う。
A社。
塩ビシート防水・絶縁工法。
244.6㎡。
15,700円/㎡。
約384万円。
見積書、防水工事.pdf
B社。
平場ウレタン塗膜防水・通気緩衝工法。
207㎡。
9,200円/㎡。
約190万円。
中様邸防水工事内訳明細書2.pdf
C社。
平場防水・通気緩衝工法。
自着シート+ウレタン。
200㎡。
7,500円/㎡。
150万円。
2026.5月 御見積書 中 賀史様.pdf
ここまで見ると、
総額差のかなり大きな部分が、
単純な値引きではなく、
工法と単価の違いから生まれている
ことが分かります。
細かいところにも思想が出る。
B社は、
目地撤去・打替えを310㎡分計上。
改修用ドレン6箇所。
脱気筒5箇所。
C社は、
ドレン4箇所。
脱気筒4箇所。
劣化部補修。
高圧水洗浄。
A社は、
入隅部と天端端部に、
それぞれ鋼板取付を明示しています。
つまり、
同じ屋上を見ても、
「ここを重要と考える」
というポイントが会社ごとに違います。
この差は、
一社だけの見積書を見ていたら、
絶対に分かりませんでした。
一社しかなければ、「そういうものだ」と思う。
もし、
最初の745万8,000円だけを見ていたら。
私は、
「この屋上を直すには746万円必要なんだ」
と思っていたはずです。
防水工事の専門家ではないからです。
逆に、
最初の見積もりが330万円だけだったら、
「330万円が相場なんだ」
と思っていたかもしれません。
相見積もりを取る最大の効果は、
値段を競わせることではなく、「一社の答えを絶対視しなくて済むこと」
だと思います。
比較すると、初めて質問ができる。
例えば、
「なぜこちらは塩ビシートで、こちらはウレタンなんですか?」
「なぜドレンが4箇所と6箇所で違うんですか?」
「こちらには目地打替えがありますが、こちらにはありません。なぜですか?」
「既存防水撤去の単価がこんなに違うのはなぜですか?」
「脱気筒は4箇所で十分なのか、5箇所必要なのか?」
一社だけでは、
そもそもこんな質問は思いつきません。
違いが見えるから、質問が生まれる。
質問ができるから、
少しずつ工事を理解できる。
これが、
今回一番大きな学びでした。
「適正価格」は一つの数字ではない。
今回、
250万円台から745万8,000円まで、
非常に大きな幅が出ました。
では、
平均を取って、
約450万円が適正価格でしょうか。
そんなことはありません。
工法が違います。
仕様が違います。
施工範囲も違います。
だから、
適正価格を知るためには、
単に過去の工事金額を集めるだけでは足りない。
何を施工した価格なのか。
ここまでセットで見なければ、
意味のある比較になりません。
これは今後、
LISONO LIFEが考えている、
見積もり適正化の仕組みにもつながる大きな気づきでした。
250万円を選ぶにも、「安いから」では不十分。
最終的には、
250万円台の施工案までたどり着きました。
資金が限られている私たちにとって、
これは非常に大きな意味があります。
でも、
250万円だから選ぶのではない。
必要な工事が入っているか。
雨漏りを止められるのか。
施工後にどう維持するのか。
保証はどうなっているのか。
それらを確認して、
「この内容なら、この建物にとって必要十分だ」
と判断できるかどうか。
そこが重要です。
450万円、500万円の差は、再生の速度を変える。
仮に、
屋上防水で500万円近く支出が変われば、
プロジェクト全体の進み方が変わります。
井戸を直せる。
浄化槽を直せる。
民泊の部屋をつくれる。
DIY賃貸に投資できる。
森の整備ができる。
つまり、
見積もりを理解することは、
単なるコスト削減ではありません。
限られた資金を、どこへ配分するかという経営そのものです。
旧教員宿舎の屋上防水から、
思っていた以上に大きなことを学びました。
次回は、
少し視点を変えます。
そもそも、
ここまでお金をかけて、
築46年の建物を直す意味はあるのでしょうか。

